秋の深まりと心の揺らぎ──断薬から6年を経て見えてきた心理の課題

秋の深まりと心の揺らぎ──断薬から6年を経て見えてきた心理の課題


目次

  1. はじめに
  2. 季節の移ろいと体調の変化
  3. 首や背中の強張りと頚椎の改善
  4. 体の歪みが整うことで見える新しい感覚
  5. 心に浮かぶ焦りと過去の記憶
  6. 潜在意識との対話と自己理解
  7. 病気がもたらした喪失感と現実の壁
  8. 自分を肯定するという新しい課題
  9. むすびにかえて

1. はじめに

10月12日。朝晩の空気に秋の気配をはっきりと感じるようになりました。
この一週間ほどで季節が一段と進み、日中はエアコンをほとんど使わずに過ごせるようになっています。とはいえ、夜になるとどこか蒸し暑さが戻り、数時間だけ冷房をつけて寝る日もあります。

気温差が激しくなるこの時期、体調を崩しやすく、私も例外ではありません。軽い風邪のような倦怠感や喉の違和感が続き、思うように体を動かせない日もありました。


2. 季節の移ろいと体調の変化

秋は過ごしやすい季節ですが、一方で朝晩の寒暖差が大きく、体の自律神経に負担をかけます。特に長年ベンゾ系薬の離脱後遺症を抱えている身にとって、季節の変化は小さなストレスでも体調に影響を与えます。

風邪気味の症状が出るたびに、「また戻ってしまうのではないか」という不安が頭をよぎります。しかし、今回はこれまでのような深刻な悪化には至らず、一定の回復基調を感じています。


3. 首や背中の強張りと頚椎の改善

首や背中の筋肉の強張りは依然として残っていますが、頚椎の歪みがかなり改善してきました。特に左側への圧迫感が軽減し、身体の軸がまっすぐに整ってきた感覚があります。

これは数十年にわたる慢性症状の中でも大きな変化であり、確かな希望を感じる部分です。背骨の歪みが取れていくにつれ、呼吸が深くなり、肩や胸の開放感を感じるようになりました。


4. 体の歪みが整うことで見える新しい感覚

体のバランスが整うと、手足の先まで血流が行き渡り、足先が自然に温かくなってきます。これは健康な人にとっては当たり前の感覚かもしれませんが、私にとっては久しく失われていた「正常な体温感覚の回復」でした。

この小さな変化が、心の奥にじんわりとした喜びをもたらしてくれます。体の歪みや緊張がゆるむたびに、心もまたゆるみ、穏やかさを取り戻していくのです。


5. 心に浮かぶ焦りと過去の記憶

身体が整い始めた一方で、心理面では依然として揺らぎがあります。
焦燥感、不安、そして過去の苦しい記憶が突然よみがえることがあります。

特に起床直後や就寝前など、意識が朦朧としている時間帯に、暗い想念がふと浮かび上がることがあります。過去の自分への後悔、病気で失った年月、そして将来への漠然とした恐れ。ときに「このまま消えてしまいたい」という危うい願望さえ感じることもあります。


6. 潜在意識との対話と自己理解

こうした思考に押し流されないよう、最近は潜在意識に関する本を読みながら、自分の内面と向き合うようにしています。
「意識の底にある本音は何なのか」「なぜ同じ思考を繰り返してしまうのか」。

答えは簡単ではありません。
ただ、心の奥底から湧き出る想いを否定せず、観察することが今の自分にできる精一杯の対話です。

焦りや罪悪感、喪失感を「悪い感情」として排除しようとするのではなく、「今の自分の一部」として受け入れる。その過程にこそ、癒しがあるのかもしれません。


7. 病気がもたらした喪失感と現実の壁

身体が回復してきたとはいえ、病気によって失った時間の大きさは否定できません。
働くこと、人とのつながり、社会的な役割──多くのものが手の届かない場所に行ってしまったような感覚があります。

現実の厳しさを前にすると、自分の存在をどう受け止めればいいのか迷う瞬間があります。
しかし、過去を取り戻すことはできません。できるのは、「今ある状態のままでも、自分は生きていていい」と少しずつ肯定していくことだけです。


8. 自分を肯定するという新しい課題

これまでの6年間(服薬期間合わせると20年以上)、回復の過程では「元の自分に戻ること」を目標にしてきました。
けれど今は、「元の自分に戻らなくてもいい」と考えるようになっています。

病気の自分、焦る自分、弱さを持つ自分──それらを含めて、自分という存在をまるごと肯定できるかどうか。ここが今後の大きなテーマになりそうです。

焦りは常に「こうあるべき」という理想から生まれます。
しかし、本当の回復は理想を追うことではなく、「今ここにいる自分」を受け入れることから始まるのではないでしょうか。


9. むすびにかえて

秋の夜風に包まれながら、ふと感じる静けさの中に、小さな希望を見いだしています。
頚椎の歪みが整い、体の感覚が戻りつつある今、心もまたゆっくりと回復に向かっていると信じたい。

たとえ焦りや不安が消えなくても、それもまた「生きている証拠」。
これまでの時間を否定せず、病気の自分を含めて受け入れながら、これからも静かに歩んでいきたいと思います。


 



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ABOUTこの記事をかいた人

50代男性。現在、自立支援医療や障害基礎年金2級、手帳2級の社会福祉制度を活用しながら自宅療養中。 2000年よりベンゾジアゼピン系薬(レキソタン、ロヒプノールなど)を服用。 2015年、40代前半に常用量依存と過労の影響で倒れたことを機に、自宅での療養生活を開始。当時服用していたベンゾジアゼピン系薬の有害性に気づき、断薬を決意。 2019年7月3日にレキソタンを断薬。現在、断薬から5年が経過し、筋肉の回復をはじめ身体全体の健康を取り戻しつつあります。 療養生活を送りながら、社会復帰を目指して日々前向きに過ごしています。